ORBEAのORCA AEROの新型がついに発表されました。
展示会にも参加して実際に見てきましたので、前モデルから進化した点や何がすごいのかを解説します。

トータルシステムアプローチという概念に基づいて、フレーム単体ではなくライダーのポジションからホイール、タイヤなどあらゆる要素を考慮したうえで最適化することを目標に開発されました。
ヘッドの形状や細くなったシートチューブやシートステーなど、形状的にも大幅に変わりました。
空気抵抗は大幅に削減され、重量もデュラエース完成車で約6.8kgと非常に軽量化されました。
しかしこの新型ORCA AEROでもっとも興味深いのがBBドロップが78mmと大きく下がったことです。
レーシングバイクの中で私が知る限り最も低い数値です。
BBドロップ78mmという進化
BBドロップはホイールの回転軸の高さからBB中心までの落差を意味しますが、53サイズまでが78mm、55サイズ以上が76mmとなり、ここまで低くなったのは革新的といえるでしょう。
これは単に低重心化しただけではなく、昨今のロードレースに最適化した進化と言えます。
昨今のロードレースでは、28~32mm幅のタイヤが標準となっています。
石畳のレースなどでは35mmくらいのタイヤが使用されます。
タイヤが太くなれば当然車体も少し高くなり、ライダーの位置も高くなります。
そこでBBハイトを下げることで、現在のトレンドに合わせた最適化が図られたということです。
BBハイトが下がることにともないスタックハイト僅かに低く調整されています。

低重心化のメリットは大きく、
・コーナリングが安定しライン取りがしやすい
・高速域での車体の安定性の向上
・横風に強くなる
・ダンシング時に安定しやすい
・前面投影面積が減少し空気抵抗の削減
などがあげられます。
デメリットとしてバイクを傾けたときにペダルヒットしやすくなるという点がありますが、近年身長に対するクランク長が短くなっていることでそのリスクが下がっています。

タイヤクリアランスは37mm
近年のプロロードレースでは多少重たくなってもタイヤ幅がある程度太い方が路面の凹凸によるパワーロスが減り、結果的に早くなり、かつライダーのパワーもセーブしつつ、グリップも向上しコーナリングの安定感も増すということで、高速化と相まってどんどんタイヤが太くなっています。
リム内幅も広くなっており、実測のタイヤ幅が32mmくらいなのは当たり前という現状です。
新型ORCA AEROが37mmとしたのは、パリルーベやロンドファンフランデレンなどの石畳のレースを視野に入れてのことでしょう。
悪路でも当たり前に40~50km/hで走り抜けるため、これらのレースでもエアロロードを選ばれることが多くなっています。
低重心化しつつタイヤクリアランスの広い新型ORCA AEROは大きなアドバンテージを得たと思います。


大幅な軽量化を実現
前モデルでは乗り心地の良さや安定性、空力性能などで評判が良かったのですが、唯一重量がネックでした。
この新型ORCA AEROではフレーム重量は約900gとなり、デュラエース完成車重量は57mmハイトのホイールが装着されて約6.8kgと大幅な軽量化を成し遂げました。
各部の僅かなスリム化が軽量化につながり、特にシートステーは取り付け位置が低くなり、薄くなったことで、軽量化だけではなく垂直方向の適度なしなやかさを獲得し、乗り心地の向上に貢献しているということです。


その他のアップデート
細かい部分でも進化している点があります。
シートポストのオフセットは2種類ですが、シートクランプが裏と表でオフセットを変更でき、実質0~15mmと15~25mmのオフセットとなり、ポジション出しの調整幅が大きくなりました。
BBの裏側に船底に見られるキール(竜骨)形状を採用しており気流の乱れを抑えます。
また専用ボトルケージが付属し、ボトルをつけた状態の方が空力性能が向上します。


特徴的な斜めのヘッドの形状が目を引きますが、ヘッド角度が極端に寝ているわけではなく、あえてこのように成形されています。
あらゆる形状でテストし、最も空気抵抗が削減されるのがこの形状だったそうです。
シートポストは薄くなり、Di2のバッテリーはBB付近に移っており、僅かに低重心化に貢献しています。


まとめ
低重心化とタイヤクリアランスの拡大、軽量化と空力性能の向上と大幅な進化を遂げたORBEA ORCA AEROを紹介しました。
フレームセット価格は税込み507,100円と、高額化するメジャーブランドのエアロロードなかではかなり手の届きやすい価格です。
もちろんORBEAの特徴であるMyOによるカラーリングやパーツのカスタマイズも可能です。
従来のフレーム設計思想から一歩進み、「ライダーが乗った状態でいかに速いか」を追求した設計思想こそが、新型ORCA AERO最大の進化と言えるでしょう。


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