CANYON AEROAD CF SLXの組み付けをしました。
CANYON(キャニオン)はインターネットで購入する手段しかなく、対応してもらえる店舗を探すのに苦労するようです。
比較的安いので爆発的に人気が出るかなと思ったのですが、期待したほどユーザーが増えないのは、やはりそういった懸念が大きいということでしょうか。
そういうわけで、CANYONのメンテナンスや組み付けのご依頼をいただくことが度々あります。
今回はAEROAD CF SLX DISCのフレーム以外すべて組み替えました。
ULTEGRA Di2仕様を注文したそうですが、音沙汰がなくなりキャンセルされてしまい、やむを得ずRIVAL ETAP仕様を購入し、ULTEGRA Di2へ組み替えという経緯でした。
そういうことだったので、段ボールに入った状態で持ち込まれました。
ひとまず形にして状態のチェックというところですが、その前にAEROAD CF SLXの通販に特化したハンドル周りについて紹介します。
コラムカット不要・ハンドル幅調整可能という画期的なステアリングシステム
ケーブルフル内装式の車体は、ハンドルの脱着が簡単にできず、そのままでは段ボールのサイズがかなり大きくなってしまい、輸送費が大変高額になるという問題がありました。
その問題をハンドルを分解するという方法で解決しました。
確かにトライアスロンバイクのエアロバーは分解して輸送しやすくなっているものもあるので、考えてみればロードにも適応できたはずです。
それをしなかったと思われる理由は後ほど説明します。
そして通販でのもう一つの障壁はコラムカットの問題です。
一体型ハンドルの場合は、ノーマルステムのようにステム上にコラムスペーサーを積めない、もしくは積むと格好悪いという問題があります。
さらにコラムカットを行うには油圧ホースを引き抜く必要があり、コラムカットだけではなくホースの接続とブリーディングが必要になります。
これは一般ユーザーにはできませんし、ショップに持ち込めばそれなりの工賃がかかります。
そこでステム側にステアコラムを取り付ける、昔のクイルステムのようなシステムにすることでコラムカットが不要になりました。
この2点はとても画期的です。
一般ユーザーに組み立てができるか
「知識のないユーザーでも組み立てできますか?」という質問はよくいただきます。
どの程度知識がないのか分からないので、正直に「わかりません」と答えたいところですが、全く知識がないと難しいとは思います。
ボルトの締め方とバイクの構造を多少知っていれば組み立てはできます。
ただしそのまま乗り出すのであれば、あまり細かいところは気にしない方が良いかもしれません。
その理由を説明します。
箱出しで乗り出せるか
基本的にはハンドルを組み立てて、前輪を装着、シートポストを固定し、コンポを充電して空気を入れると走り出せるようにセッティングされている、はずです。
実際のところはどうか、組み立ててチェックしてみました。
バイクを触れる人からすると組み立てはとても簡単です。
フロントホイールを回してみると、ディスクローターがブレーキシューに接触しています。
これは仕方ないかなとも思います。
次にフロントディレイラーの取り付け角が不適切です。
写真で見るより斜めです。これはちゃんとできたでしょうと思います。
そしてリアブレーキ取り付けの付け根部分に傷があります。
これはディスクローターが当たったことによる傷だと思いますが、ブレーキがあればここにディスクローターが当たることはないはずです。
普通当たるのは保護テープを貼っている位置です。
つまり組み立ての際に、ブレーキキャリパーを取り付ける前にホイールを取り付けたのだと思います。
その組み立て手順自体は問題ないのですが、であればホイールを取り付ける時は気を使わなければなりません。
組み立て工場での作業風景が目に浮かびます。
以上が、細かい点を気にしてはいけないといった理由です。
人によっては全然気にならないと思いますが、神経質な方には問題かもしれません。
逆に言うと、ちょっとした調整と寛容さで、プロ選手も使用しているバイクが割安で手に入れられるということです。
ULTEGRA Di2へ載せ替え作業
箱から出して組み立てましたが、コンポ載せ替えですので全てバラします。
フレーム単体の重量です。
ステアリング周りにはギミックがあるので、フォークやハンドルがもっと重たくなると思いましたが、その割には重たくないです。
半円の円錐形状のフォークコラムに、ステムから伸びたパイプを被せて、パイプの外から中のフォークコラムにスライドして押し付けてクランプするという構造です。
ハンドル幅は3段階で調整ができ、裏側から2本のボルトで固定します。
固定してハンドルを押してみると、結構たわみます。
剛性が低いのは構造上仕方がないのですが、1本のハンドルで幅を変えられるのは画期的な仕組みだと思います。
Di2バッテリーはダウンチューブに内装するのですが、そのためのアダプターは付属していませんでした。
そのためお客さんに購入してもらいました。
シートポストの中に入らないので、この位置に固定するようになっているのですが、バッテリーを交換するためにはBBを外す必要があります。
バッテリーが故障した際はBBの脱着もしくは交換必要になるのはネックかもしれません。
中を確認すると一部盛り上がっていました。
取り付けには問題なかったのでそのままでいきました。
CANYONの持ち込みメンテナンスや組み付けについて
バーテープを巻きなおして完成です。
ハンドル周りの仕組みは感動的でした。
CANYONならではの工夫だと思います。
当店ではCANYONに限らず持ち込みでのメンテナンスや組み付けをお受けしております。
持ち込みに関する注意点として下記のページも確認してください。
今回のようにパーツの取り寄せをお願いする場合があり、また不具合があった場合はこちらから何か言うことはできないので、対応してもらうことになります。
それらにご了承いただければ、他店で購入した・譲ってもらった・通販で購入した方などもお気軽にご相談ください。