新型TIME ALPE D’HUEZ DISC (タイム アルプデュエズ)を組付けしました。
組み付け動画もアップしましたので、よければご覧ください。
”いつかはTIME”と言われた時代
多くのロードバイク乗りが「いつかはTIME」と憧れた時代がありました。
TIME社は、ペダルから始まり、ペドロ・デルガドやグレッグ・レモンなどの足元を支えましたが、バイクメーカーとしてのTIMEも、2000年代に欧州プロレースで一時代を築きました。
トム・ボーネンの世界選手権やパリ~ルーベなどのクラシック制覇、パオロ・ベッティーニの世界選手権制覇やオリンピック金メダルなど、数々の栄光を手にしました。
プロレースを席巻したTIMEは、もちろん憧れの存在ではありますが、多くのロードバイク乗りを魅了したのはそれだけではありません。
TIMEのフレームの魅力は、やはりバネのように進む独特の加速感と振動吸収性の高さでしょう。
軽くて硬い無機質なフレームが多いなかで、TIMEはまるで生きているようにライダーの踏み込みに呼応し、跳ねるように加速します。
リズムがあえばどこまでも加速していくように感じさせられます。
ただ走ることが純粋に楽しいと思える唯一無二のバイクブランドです。
また独自のRTM製法により非常に精度が高く、また内側も外側と同様に型をつかって成形するため、コストや手間はかかりますが見えないところもきれいに仕上がります。
通常、フレーム内部はビニールの風船のようなもので空間を作りますが、ワックスでしっかり型を作るため、フレーム内部に余分なカーボンのバリやビニール片が残っていたりすることがありません。
精度の高さはBBの圧入作業をするときに明確にわかります。一定の力できれいに入っていくのはTIMEならではです。
BBの回転性能において、ベアリングがセラミックであろうが何であろうが、BB部のフレーム精度が及ぼす影響がはるかに上回ります。
それらに加えて、TIMEは一貫して自社生産をしており、製品としての品質がずば抜けて優れています。
TIMEのフレーム価格は昔から安くても50万円以上はしていましたが、品質を考えるとどこよりも納得感のある価格です。
近代化したTIME ALPE D’HUEZ
往年のTIMEファンからすると、近年のTIMEはTIMEではないといいます。
それは伝統的なカーボンラグフレームから一部モノコックになったことや、バネ感が大人しくなったこと、複雑に角ばった形状からトレンドに乗った、悪い言い方をすればつまらないデザインになったということなどが挙げられるでしょう。
しかし、TIMEというブランドはペダルにしてもフレームにしても、当時から革新性と妥協のないモノづくりで確固たる地位を築き上げました。
したがって、過去にとらわれて進化を止めてしまえば、それはもはやTIMEではありません。
近代化した要素として、一番わかりやすいのはフル内装ケーブルに対応したというところです。
ヘッドチューブを大口径化し、DEDAのDCRなどの内装システムに対応しました。
今回はDEDA SUPERBOXステムとSUPERZERO CARBONハンドルを用いて、作業性に配慮したセミ内装仕様で組み付けています。
というのも、適正な長さのステムの在庫が切れていたため、後々ステムを交換することを視野にいれているからです。
見た目はフル内装と遜色なく、それでいてステム交換などの作業性が優れているためおすすめです。
組み付け動画をご覧いただければ仕組みが分かりやすいと思います。
以前の伝統的なカーボンラグのTIMEと比較すると、バネ感が少なくなった代わりに、反応性が向上しています。
これがTIMEらしさが少なくなったといわれる所以でもありますが、現在求められている性能を取り入れた結果であると言えます。
振動吸収性は相変わらず優れています。
細かい振動がカットされているような、不思議な感覚です。
「道路に絨毯を敷いたような」といいたくなる気持ちも分かります。
レーシーでありながら、乗り心地は上質。
やはりこれはTIMEなのだと感じさせられます。