ツール・ド・フランス最多勝利達成!マーク・カヴェンディッシュ復活の歴史

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昨年の引退発表を1年延期して挑んだ39歳のマーク・カヴェンディッシュが、見事ツール・ド・フランス第5ステージを制し、ツール最多勝利記録を更新しました。

圧倒的な強さで誰もが史上最強のスプリンターと認める全盛期を知る人たちは、大きな落車によるリタイアを繰り返したり、なかなかスプリントにも絡めずもがき苦しむ彼を見て、何とか報われて欲しいと思ったことでしょう。

そこを乗り越えてのステージ勝利、そしてレース後多くの選手が彼を祝福するためにやってきて握手や抱擁を交わすシーンは、涙なしには見られません。

ロードレースの歴史に残る素晴らしい一日となりました。

カヴェンディッシュ復活の歴史

カヴェンディッシュの不調と復活を繰り返した歴史を振り返ります。

全盛期はチームコロンビア時代からHTCを経由してチームスカイ、そしてオメガファルマ・クイックステップへ移籍するところまでだと思います。

2012年までですでにツール・ド・フランスは19勝し、4年連続最終ステージのサンゼリゼを制しています。

その後は全盛期ほどの勝利は挙げられず、このまま世代交代するものと思われました。

しかし2016年、ディメンションデータへ移籍した年のツール・ド・フランスでは復活の4勝を挙げ、初めてマイヨジョーヌも着用しました。
まさに強いカヴェンディッシュが帰ってきた年でした。

その翌年のツール・ド・フランスでペーター・サガンとの接触により大きな落車。骨折等の大けがを負いそのままリタイアとなりました。

この落車以降、明らかに落車によるリタイアが増えました。
ほとんど勝利を挙げられないどころか、スプリントに絡めなかったり、鬱病にもなったりと、今回こそは本当にこのまま引退してしまうのだろうと思いました。

落車リタイアや不調のシーズンを過ごし、2021年、クイックステップへの復帰が発表されました。
多くの方が偉大な選手の最後の花道だろうと思ったはずです。

実際、移籍金やサラリーがかなり低いどころか、持ち出しがあったのではないかという噂までもありました。

しかしなんとその年のツール・ド・フランスで再び4勝を挙げ、エディ・メルクスの持つツール・ド・フランス最多勝利記録にまで並びました。

当然その翌年はツール・ド・フランスに出場して記録を打ち破るものだろうと皆が想像しました。

しかし、2022年のツール・ド・フランスではメンバーに召集されず、クイックステップはファビオ・ヤコブセンをエーススプリンターとして臨みました。

この判断は多くの批判を呼びました。
エディ・メルクスはベルギーの英雄であり、そしてそのベルギーの歴史あるチームクイックステップが、彼の持つ記録をチームメイトとはいえイギリス人に破らせるわけにはいかないから、カヴェンディッシュを外したのだと。

しかしカヴェンディッシュ自身はGMの判断を尊重し、また自分をチームに受け入れたくれたことに感謝の意を表しました。

その翌年、アスタナに移籍が決まりました。
シーズン途中で引退を発表し、2023年が最後のツール・ド・フランスになるはずでした。

アスタナへの移籍も急遽決まったことだったため、トレインを組んでツールでスプリント争いができるようなメンバーではありませんでした。
それでもカヴェンディッシュのラストツールを見届けようと思っていたなか、第8ステージで落車による骨折でリタイアとなってしまいます。

このまま引退かと思われましたが、1年間の契約延長が発表されました。

さらに全盛期時代の発射台役のマーク・レンショーが監督に就任、クイックステップ時代の発射台約のモロコフが加入するなど、ヴィノクロフ大佐の漢気と本気さが感じられ、熱くなりました。

そしてその思いに見事に答えたカヴェンディッシュ。
予定通りだと今年で引退になりますが、この1勝を持っても最高の締めくくりといえるでしょう。

まだツールは続きます。この先も楽しみです。

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