待ちに待ったツール・ド・フランスが開幕しました。
自転車人気の高いスペインのバスク地方をスタートし、21ステージを経てフランスのパリにフィニッシュする2023年のツール・ド・フランス。
総獲得標高56,266mと、山岳厳しいと評判のジロ・デ・イタリアの51,300mを大幅に超える、かなり過酷な3週間となる。
ちなみに単純に21ステージで割ると、1ステージあたりの獲得標高は2,679mとなります。
第1ステージから結構きついので、スプリンターにとっては苦しいツール・ド・フランスです。
個人的には新城選手が中継にゲストで登場するそうなので、非常に楽しみです。
総合優勝争いについて
総合優勝争いについては、おそらく全員が「ヴィンゲゴーvsポガチャル」の争いだというでしょう。
そしてヴィンゲゴーが優位だとも。
私もそう思います。
というより、そうとしか考えられません。
ヴィンゲゴーの方が優位というのは、直近の戦績が良いことと、ユンボ・ヴィスマのチーム力が頭抜けているというところです。
ワウト・ファンアールトもマイヨヴェールを狙わないと公言しているので、総合を戦ううえでなおさら強固なチームになります。
そしてポガチャルは4月に手首を骨折しているため、どこまで仕上がっているか、どの程度怪我の影響があるかが未知数です。
こういった点で、ヴィンゲゴー優位という見方が強いです。
ポガチャルの状態が未知数という点でいうと、チームメイトにアダム・イエーツがイネオス・グレナディアースから移籍してきているので、ポガチャルがマークされる中で、単純にアシストするのか影のエースとして立ち回るのかが、見どころです。
マーク・カヴェンディッシュ、ツール・ド・フランス最多優勝なるか
第3ステージが実質最初のスプリントステージになりますが、第5・6ステージには早速超級山岳が登場するため、スプリンターにとっては苦しいツール・ド・フランスです。
個人的にはやはり本年で引退を表明しているマーク・カヴェンディッシュの歴代ツール・ド・フランス最多優勝を成し遂げることができるかどうかを最も注目しています。
一昨年のツール・ド・フランスで復活の4勝を挙げ、最多勝利のエディ・メルクスに並んだものの、昨年クイックステップはファビオ・ヤコブセンをエースに据えたことで出場すら叶いませんでした。
ベルギーチームであるクイックステップが、ベルギーの英雄であるエディ・メルクスの記録を破らせないためにカヴェンディッシュを出さなかったのではと批判された。
多分その批判は当たっていると思います。
ヤコブセンのことはSEGレーシング時代から応援している選手だったので、非常に複雑な思いでしたが、やはりカヴェンディッシュの最多勝利を見たいという思いが強いです。
クイックステップを出たカヴェンディッシュは、契約がなかなかまとまらず、ドタバタでアスタナ加入が決まりました。
全くスプリントのノウハウがないアスタナで、なかなか思うような走りが出来ていませんでしたが、ジロ・デ・イタリアの最終ステージでほとんど独力でスプリント勝利を収めました。
ゴール後には、チームを超えてたくさんの選手が彼の勝利をたたえにきて、抱き合っていたのが本当に印象的で、感動的でした。
そういうことなので、なんとか勝利してほしいなと思いますが、実際はメンバー的には厳しいです。
ケース・ボルが加入したのは大きいですが、あまり一緒にレースを走れていないので、連携がうまくいくかが問題です。ここがうまくいくかは注目ポイントでしょう。
フランスでの暴動について
第4ステージからフランスに帰ってきますが、肝心のフランス国内ではとんでもない暴動が起こっています。
アラブ系の移民の17歳の少年が警察の静止に従わずに車を発進させ射殺されたことを発端に、移民によるデモが暴徒化し、略奪や放火、暴行が多発。
千数百台の自動車が燃やされ、道路にはその残骸が放置されている状態です。
完全に無法地帯と化し、内戦状態といっても過言ではないでしょう。
スポーツやイベントは軒並みに中止され、多くの公共交通機関は止められている現状です。
非常事態宣言を出すことも検討しているような現状です。
延期されるかもしれないと思いましたが、今のところツール・ド・フランスはフランスの威信にかけて続行される予定です。
移民政策の失敗や経済の不安定化はフランス政治の責任ではありますが、沿道の観客のなかを様々な国籍の選手たちが走るこのイベントは、本当に大丈夫なのでしょうか。
選手の中にはたくさんのフランス人がいます。そして7月14日はフランス革命記念日です。大丈夫でしょうか。
あまり情報も入ってこないので、無事何事もなく終わることを祈るのみです。