本気の機械式ディスクブレーキ「EQUAL」のレビュー・インプレ

INFOMATION

4本ローラーやハイブリッドローラーなどの革新的なローラー台を生み出したメーカーとしてお馴染みのGROWTAC(グロータック)が、なんとメカニカル(機械式)ディスクブレーキを本気で作ってきました。

1000km以上走行し、雨や山でのテストも行ってきたので、簡単にインプレと、メリット・デメリットを紹介したうえで、どういう方にお勧めかをまとめました。

ディスクブレーキに関してあまり知識のない方は、以前投稿したディスクブレーキに関する記事と併せて読むと、より深く理解できると思います。

従来のメカニカルディスクブレーキはただ安くて手軽なだけ

今まで私の中ではメカニカルディスクブレーキという選択はあり得ませんでした。
なぜなら
・重量的に重たい
・引きが重たい
・ブレーキが利かない
というブレーキとしては全く取柄がないという印象だったからです。
ただ安くてワイヤー引きで使えるという手軽さだけがあるという印象でした。

そういうことだったので、EQUALが発表された時も、正直に言うと半信半疑でした。
ジュラルミン削り出しで見た目も格好良いのですが、価格も3万円と安くはなく、手軽さだけが売りと認識していたメカニカルディスクブレーキで、それはどうなのかなとあまり期待していませんでした。

それ以降は記憶の片隅になっていたのですが、ある日、BOMAの担当の方からお勧めされて、試乗車を乗ってみることにしました。

後ほどインプレのまとめや機能について紹介しますが、先に実際に使ってみた感想を紹介します。

メカニカルディスクブレーキのイメージを覆した「EQUAL」

まずは静止した状態で試乗車のブレーキレバーを握ってみました。
従来のメカニカルディスクブレーキだと、この時点ですでに重たいのですが、EQUALはとても軽くてスムーズ。
デュラエースのリムブレーキをかなり上手に組んだか、それ以上の引きの軽さです。
もちろん油圧のようなスルっというかヌルっというか、そういう感じではなく、ワイヤーを引いている感触はあります。
ただ静止状態での引きの軽さについては、ほとんど差は無いといっていいでしょう。

この時点で今までのメカニカルディスクブレーキとは全く別物であることがはっきりと分かりました。

次に実際に乗車して低速域でブレーキをかけてみました。
ワイヤー引きなので、今までのリムブレーキと同じような感覚でレバーを握ると、想像以上にブレーキが効いたのでとても驚きました。
慣れの問題だろうとすぐに理解しましたが、EQUALには効きの強さを調整する機能も備わっているので、このあたりも簡単に調整可能です。

25~30km程度速度を出してからブレーキングしてみましたが、しっかりガツンと制動してくれました。
ここまでの印象は、レバーの引きは普通のリムブレーキ以上の軽さで、効き方はディスクブレーキ、そんな印象です。

軽さと制動力の秘訣

この引きの軽さの秘訣は、ブレーキキャリパー本体が軽くて剛性が高いということ、ケーブルが直線的に配線できるということがあげられます。

ジュラルミンの削り出しということで、軽さと剛性の高さは他を圧倒します。
特にワイヤーの引きによって可動するカム部分が軽量なことは、そのまま引きの軽さに繋がります。

また片押しのピストンという点も、軽さに貢献しています。
ロードでの使用環境であれば、両押しのピストンにして重量と引きの重さが増加するより、片押しにすることのメリットが上回るという考えで、実際に文句なしの制動力を実現しています。

ワイヤーラインを直線的に配するということは、摺動抵抗が低くなるため、これも引きの軽さに直結します。

この引きの軽さと高い剛性により、ダイレクトなブレーキフィーリングと高い制動が生み出されるのです。

インプレッション:組付け編

さて、商品が届いて驚いたのが、ケーブル類一式が付属していることでした。

このアウターワイヤーは非常に硬くて簡単に曲がらないようになっています。直線的な部分はこの硬いアウターを使い、ハンドル部分などの湾曲するところは通常のアウターを使用します。

これによって、レバーを握ってインナーワイヤーがブレーキを引っ張る際に、不用意にアウターが動くことを抑制し、レバーを引いた力をダイレクトにブレーキまで伝えることができます。

インナーワイヤーも一切妥協なしの日泉ケーブルでした。

ただこのアウターワイヤーは複雑に曲がらない箇所でのみ使用できます。
今回はBOMA allumer-discに組付けしましたが、油圧ホースの場合は、ダウンチューブ上部から入って、BBの下で一度フレームの外に出て、再びフレーム内部に入ってチェーンステーを通るのですが、このBB下を出て入るところが少し屈曲が強く、EQUALのアウターワイヤーを使用する場合、無理やりやればできるかもしれませんが、後のメンテナンス性を考えると、外に出さずにBB内をそのまま通すようにするべきでしょう。

ここで機械式変速で組付けの場合は注意が必要です。
BB内にブレーキアウターワイヤーを通すと、フロントディレイラーのインナーワイヤーと接触する可能性があります。
その点はしっかり確認する必要があります。
言うまでもありませんが、クランクシャフトが露出しているBBもダメです。

今回はDi2で組んでいるので、そのまま硬いアウターをBB内に通すこともできなくはないのですが、一般的な用途で検証したかったため、あえて通常のシマノのアウターワイヤーで、BB下で一度外に出し、油圧ホースでの想定通りのワイヤリングで組付けました。

説明書が非常に丁寧で、その通り組付ければ全く問題ありません。
慣れの問題もあり、個人的には油圧ディスクの方が組付けは簡単に感じましたが、油圧ディスクをあまり触らない方にとっては、後の調整も含めてEQUALが圧倒的に簡単でしょう。

調整方法も説明書通りにやれば問題ありません。
油圧のディスクブレーキに調整機構はほとんどありませんが、このEQUALはピストン位置を片側ずつ調整できます。
これによってパッドの位置を非常に簡単に調整することができます。

またワイヤーの引きも調整できるので、これによって効きの強弱を疑似的に調整できます。

インプレッション:乗車編

さて、ここからは実際に乗ってみての感想です。

乗り始めてすぐに感じたのは、試乗車で触った時よりも効かないということでした。
これは油圧ディスクブレーキの場合でもあるのですが、組付けてすぐはパッドの馴染みが出ていなくて、ブレーキの利きが悪いということがあります。

それだろうと思い、気にせずに走っていると、次第に馴染みが出て、しっかり制動するようになりました。
ただ油圧ディスクブレーキを使用していた時よりも、その期間が長いなと感じました。
パッドの材質の問題、あるいは片押しのピストンだからかとも思いましたが、このあたりはまた別で調査しようと思います。

馴染みが出て、ブレーキの微調整が完了してしまえば、しっかりとした制動が得られます。
普通に乗っている分には油圧ディスクブレーキの制動力と遜色有りません。
リムブレーキよりも軽い引きで強い制動が得られます。

油圧ディスクブレーキとの差を感じたのは、強くブレーキングしたその先でのコントロール性です。
油圧ディスクブレーキはその仕組み上、レバー側は小さい力でもブレーキキャリパー側で大きな力を発揮できます。
従って、強くブレーキングするシーンでも、レバーを握る力が小さく済むので、コントロールがしやすいです。

これは山の下りや、特に雨天時で効果を発揮します。
ディスクブレーキはディスクローターの形状などから、リムブレーキと比べて雨の影響を受けにくいという利点があります。これはEQUALも同様です。

この辺りのディスクブレーキの仕組みなどについては、初めに紹介した記事を参考にしてください。

ただ油圧ディスクブレーキの方が、普通にブレーキングし、そこからさらに強く制動する時のコントロールが容易になります。
コントロールできるということは制動できるということに繋がります。
ここがEQUALと油圧ディスクブレーキの違いでしょう。

確かにそれは大きなメリットという見方ができます。
しかし、ロードバイクのようなタイヤが細くグリップが低い乗り物で、その細かなブレーキ操作で安全性を確保するというのは、一般的なサイクリストに求めるべきではありません。

インプレッションまとめ
・レバーの引きはとても軽い
・通常の走行での効きは油圧と遜色ない
・雨天や山の下りでは、油圧が優れる。ただしリムブレーキより優れる
・油圧>EQUAL>リム

EQUALのメリット・デメリット

性能面はインプレッションでほとんど紹介していますが、それらを踏まえて、実際に導入や運用するにあたってのメリットとデメリットを紹介します。

メリット
・リムブレーキユーザーがコスト・運用面で手軽にディスクロードに乗り換えられる
・ブレーキパッド位置の調整が容易
・輪行しやすい

デメリット
・ブレーキパッドが摩耗した際、手動でパッド位置を調整する必要がある
・ブレーキ性能で油圧ディスクブレーキに劣るシーンがある

油圧ディスクのレバーは高価で、例えばワイヤー変速のアルテグラだと、レバーとキャリパーあわせて7万円近くになり、105でも6万円弱になります。

EQUALはジュラルミン削り出しで軽量に仕上げているため、前後合わせて約3万円と高価ですが、レバーがリムブレーキ用をそのまま使えることを考慮すると安上がりといえます。

メーカーHPより

見た目の高級感と豊富なカラーリングで、おしゃれ好きにはそこもポイントになるでしょう。

また、油圧ディスクレバーは、ワイヤー変速のレバーと比較して、重たく大きいということもあり、人によってはワイヤー変速のレバーが使えるメリットがさらに大きくなるでしょう。

105のSTIレバーの比較。左が油圧式のST-R7020

輪行については、個人の技量にもよると思います。
多少失敗しても、ちょっとブレーキの利きが甘くなるだけと割り切る方もいれば、輪行先で痛い目にあったからメカニカルディスクに組み替えてほしいと来店された方もいました。

私自身は油圧ディスクの輪行もあまり気になりません。ただそうではない方が多数かと思います。
現地でエア抜きはできませんし、近くにすぐ対応してくれるショップがあるとも限りません。

機材の扱いに自信がなく、気軽に輪行することを重視したい方は、是非EQUALを検討してください。

デメリットとしては、パッドが摩耗した際に、油圧の場合はある程度は自動で調整してくれますが、EQUALは手動で調整する必要があるという点があげられます。

ただし調整はとても簡単で、左右から六角レンチで締めたり緩めたりするだけですので、出先でも簡単に対処できます。

長距離をノンストップで走りたいという場合、例えば山岳を含んだ200kmくらいのロードレースで使用するなど、そういった場合は注意が必要かもしれません。

まとめ

現在もEQUALを使用していますが、私はとても満足しています。
制動もしっかりしていて、引きの軽さも申し分ない。
見た目のアクセントにもなるし、パッド位置やワイヤーの引きなどの調整ができるのも面白いです。

ただ、それらは私が油圧ディスクブレーキを乗り続けているから得られる感想ともいえます。
現在所有しているバイクはすべてディスクブレーキで、EQUALを導入するまでは全てが油圧ディスクブレーキだったので、だからこそEQUALを使ってみて「ロードはこれで十分じゃないか」と思えたのかもしれません。

もしリムブレーキユーザーが油圧ディスクブレーキに大きな夢を抱いているとしたら、例えばEQUALを使用したとしても、いずれ油圧ディスクブレーキが気になってくるかもしれません。

今回紹介したメリット・デメリットを参考に、検討してもらえたらと思います。

kurocycleでは試乗もできますので、乗り換えの際などは是非ご相談ください。

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