感動的な復活 ツール・ド・フランス 第4ステージ カヴェンディッシュの優勝と復活劇

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6月29日 ツール・ド・フランス 2021 第4ステージ
カヴェンディッシュに魅了されサイクルロードレース観戦を始めた私にとって、最も感動した一日になりました。

トラックレースで活躍するカヴェンディッシュは、2007年にプロロードレースへデビューし、ハイロードの最強トレインとともに勝利を量産。
スプリンターの代名詞、アレッサンドロ・ペタッキに引導を渡したのがこの時代です。
ハイロード時代の勝利数は膨大ですが、一部だけ紹介すると、
2008年 ジロデイタリア 2勝、ツールドフランス 4勝
2009年 ミラノサンレモ 優勝、ジロデイタリア 3勝、ツールドフランス 6勝
2010年 ツールドフランス 5勝、ブエルタアエスパーニャ 3勝・ポイント賞獲得
2011年 ジロデイタリア 2勝、ツールドフランス 5勝・ポイント賞獲得、世界選手権ロード 優勝

2012年、トラックレースでタッグを組んで戦う、ブラッドリー・ウィギンスを主軸に、ツール制覇を狙う、チームスカイへ移籍します。
総合優勝を狙うチームで昨年ほどの勝利数は挙げられなかったものの、ジロで3勝、ツールでも3勝し、シャンゼリゼ4連覇という偉業を成し遂げました。
また、チームメイトのウィギンスが総合優勝、クリス・フルームが2位と、チームスカイ時代の幕開けにもなりました。

その翌年、オメガファルマ・クイックステップに移籍します。
あのペタッキがカヴェンディッシュのアシストとして加入したのも話題になりました。
ジロでは5勝を挙げ、ポイント賞を獲得。全グランツールでのポイント賞獲得という偉業を達成します。
イギリス選手権を制し、ツールでも2勝を挙げましたが、マルセル・キッテルの台頭により例年ほどの活躍はできませんでした。

キッテルをはじめ、アンドレ・グライペルやアレクサンダー・クリストフなどのライバル勢の活躍が目立ち、いよいよ世代交代か、などとささやかれるようになります。
そして2014年のツールドフランスで決定づけるような出来事が起こります。
母国スタートにして母親の故郷へフィニッシュという、完璧に舞台が整った第1ステージ、最後のスプリントで落車、その後リタイアとなってしまいました。
2008年以降、グランツールで勝利を挙げ続けてきましたが、とうとうこの年はグランツールで1勝もすることなくシーズンを終えます。

2015年はツールで1勝をあげるものの、スプリンターの主役は完全にグライペルでした。

しかし、2016年にディメンションデータへ移籍し、なんとツールで4勝を挙げ復活を果たします。
またウィギンスと8年ぶりにペアを組み、トラックレースの世界選手権でマディソンに出場、3度目の世界チャンピオンに輝きました。

あのマン島ミサイルが復活かと期待された2017年、ツールドフランスでサガンとの接触により大落車。そのままリタイアとなりました。
サガンへのバッシングの声も大きく、裁定もブレブレでしたが、個人的にはデマールとブアニのやり合いが危なすぎて、そっちを何とかしろよと思いましたが。

それ以降、カヴェンディッシュは毎年のように落車で怪我をし、グランツールでの勝利からは遠ざかり、年齢的にも引退が噂されたりと、このまま彼のキャリアは終わるのだろうと思われました。
彼の女房役といわれたマーク・レンショーが引退した時、私自身、本当に彼の時代は終わったのだと思いました。

しかし今年2021年、古巣クイックステップに戻ったカヴェンディッシュはツアーオブターキーで4勝を挙げるなど、復帰の兆しをみせました。
ツールの出場が決まった時、非常にうれしかったですが、調子が良いとはいえ、本当にスプリントに絡めるだろうかという思いがありました。

第4ステージ、スプリントポイントで集団の頭を取った時も、ステージ優勝が難しいから、ここで力をつかってでも取りに来たのかとか、グリーンジャージを着るアラフィリップのためにポイントをつぶしに行ったのか、などと思っていました。

そしてロットのファンブールが大逃げを決めるか、集団が捕まえてスプリントに持ち込むかというラスト数kmの戦いで、クイックステップのエース、アラフィリップも必死で牽引し3番手にカヴェンディッシュが位置取ります。
この時から、あのスプリントステージでの高揚感を思い出しました。
ラストは少し登り勾配、ゴール目前でファンブールをキャッチすると同時にスプリント開始、ケース・ボルとフィリップセンの間から伸びてきて差し切ったのはなんとカヴェンディッシュ。
何度も見たはずの両拳を突き出した、あのガッツポーズを見ても、まだ信じられない思いでした。

ゴール後泣き崩れるカヴェンディッシュを見て、今までの苦しい期間が垣間見え、感動が押し寄せてきました。
サイクルロードレースを見ていて本当に良かったと思った瞬間でした。

近年落車が多すぎるなど、サイクルロードレースという競技が抱える欠陥についてはまた書きたいと思いますが、一先ず、第5ステージで彼がグリーンジャージを着て出走するのを楽しみたいです。

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